結論から言えば、AIが進化したとしても不動産コンサルの仕事が奪われることはないでしょう。
なぜなら不動産コンサルの業務内容は「人の手」が必要なケースが必ず出てくるからです。
たとえば「内見」が挙げられます。
昨今ではVR技術を活用した内見も広がっていますが、内見をする際に確認するのは家の間取りだけではありません。
家の周りの雰囲気や近くにどんな公園やスーパーがあるのか、最寄り駅までの道のりなども確認して、最終的な決定をします。
つまり必ず「リアル」でのサポートが必要になります。
また、不動産を契約する際の契約書面のやり取りや入居後のフォローなどは、AIではなく人間の方が安心感があるでしょう。
AIは万能ではなく、得意分野と不得意分野があります。
何もかもをAIに任せるという未来ではなく、AIと不動産コンサルが連携して顧客をサポートする形が今後は考えられます。
AIの導入は不動産コンサルを助ける存在になり得ます。
特に、不動産業界が抱える以下2点の課題については解決の糸口になると言えるのではないでしょうか。
それぞれの課題について解説していきます。
不動産業界は契約条項が複雑に設定されているため、契約の際は書類が多くなることに加え、手続きが煩雑になるケースも多くあります。
また不動産データをExcelや紙で管理しているケースも少なくなく、顧客の要望に合わせて物件をマッチングする際に、担当者がアナログで対応しているケースもあります。
こうしたアナログ的な業務の改善にAIは向いています。
例えば、契約書類であれば、案件に必要な書類を瞬時に判断し、適切な処理が行えるようになるでしょう。
また、顧客ニーズにマッチした物件紹介でも不動産コンサルの経験と勘に頼るのではなく、膨大なデータを利活用し、正確なマッチングを助けることも可能になります。
こうしたアナログ業務を抜本的に改善し、不動産コンサルティング業務のサポートが期待できます。
不動産の価値は、該当不動産と似た不動産の相場や周辺地域がどのような状況かを見ながら、不動産業者やコンサルが算出しているものがほとんどです。
これらの査定は明確な定義があるものではなく、経験値に基づいて算出されたりもします。
こうした不動産価値の査定もAIを活用することで、客観的なデータに基づいて算出が可能です。
また、算出までの時間も人間よりも圧倒的に早いため、早期に不動産価値を知りたい顧客からの満足度向上にもつながっていきます。
不動産コンサルティングにおけるAI導入のメリットとしては、主に以下の3点が挙げられます。
それぞれのメリットについて解説します。
不動産コンサルは膨大なデータの活用や煩雑な契約書類などの処理などが求められます。
AIを導入することで業務に必要なデータをすぐに取り出すことができ、査定などの自動化ができるなど業務の効率化に大きく貢献できるのが特徴です。
これまで手間がかかっていた業務をAIに任せることで、自身はよりコアの業務に集中できます。
透明性のある査定や顧客ニーズに合わせた物件の紹介をスムーズに行えるようになるなど、AIを活用することで、これまでよりも納得感のある情報提供などが可能になります。
従来よりもスピーディーに物件紹介に必要なデータなどが取り纏められるため、顧客を待たせることもなくなります。
そのため、顧客満足度の向上につながっていくことが期待できます。
都市計画や出店戦略などもAIを活用することで高度なプランニングが実現できます。
たとえばエリア別の滞在人口や行動パターンなどが複雑に絡みある人流データを、AIに分析させることで高度な将来予測などが可能になります。
また、目標達成のためのシミュレーションも可能なため、これまでできなかったプランニングが行えます。
AIの進化によって、不動産コンサルティングの仕事が奪われることはありません。
どちらかと言えば、これまで時間のかかっていた業務などをAIに代替してもらえることで、業務効率化などにつながっていきます。
AIによって仕事がなくなることはありませんが、今後はAIをきちんと活用できる不動産コンサルティングが求められるでしょう。